ギデオンは果たしてどのような人だったのか?
そして、なぜ神に選ばれたのか?
ギデオンはヨアシュの末子で、マナセ族のアビエゼル氏族の中でも最も貧しい家族でした。
➤ ギデオンは、神の民のリーダーとして選ばれそうもない人物に見えましたが、聖書によると、ギデオンが「…ミディアン人に奪われるのを免れるため、酒ぶねの中で小麦を打っていた(士師記6章11節)」とき、主の御使いが来たと書かれています。実は酒ぶねというのは風通しが悪い場所にあり、通常、屋外の広い場所で行われる麦打ちには不向きです。
ここまで読んであなたは、ギデオンが臆病だったからこそ隠れて麦打ちをしていたのではないかと思っているのかもしれませんが、この士師記全体を読んでいけばそうではなかったことが見えてきます。
ギデオンは当時のイスラエルが直面していた状況に不満を抱き、それ以上ミディアン人が自分たちが苦労して育てていた小麦を奪いに来るのを黙ってみていられないと思い、他の人々が洞窟の中で隠れて、いつか状況が変わるのをひたすら待っていた間、自分は何とかしなければいけないと思い、こうどうしました。
神は、他の人にはなかった「反抗」をギデオンが抱いていたことを見て、御使いを送り「勇者よ、主はあなたと共におられます(士師記6章12節)」と伝えました。しかし、ギデオンはその言葉にも疑問を抱き、「…主なる神がわたしたちと共においでになるのでしたら、なぜこのようなことがわたしたちにふりかかったのですか…先祖が…語り伝えた、驚くべき御業はすべてどうなってしまったのですか。今、主はわたしたちを見放し、ミディアン人の手に渡してしまわれました。(13節)」と訴えました。それほど素晴らしい神を知りながらも、昔話ばかり知っていて、実際には何も経験したことがない不満をぶつけました。
では、ここで考えてみて下さい。もしあなたがギデオンの立場だったら、天使に向かってそのような口答えができると思いますか?ではなぜギデオンはそう答えたのでしょうか?
ギデオンはきっと、先祖に聞いていた話は本当で信じてきたけれども、自分の目では苦しみばかり見てきて、惨めな思いをしていたに違いありません。その感情を「反抗」と言います。彼は人や物にぶつけるのではなく、神にその反抗心をぶつけ、「なぜ」と聞き、どうするべきなのか示してほしかったのです。
そんなギデオンに神は、「あなたのその力をもって行くがよい。あなたはイスラエルを、ミディアン人の手から救い出すことができる。わたしがあなたを遣わすのではないか(14節)」と答えましたが、それでもギデオンは再度質問をしました。「しかし、どうすればイスラエルを救うことができましょう。わたしの一族はマナセの中でも最も貧弱なものです。それにわたしは家族の中でいちばん年下の者です。(15節)」
神はただ、「わたしがあなたと共にいるから、あなたはミディアン人をあたかも一人の人を倒すように打ち倒すことができる。(16節)」と答えました。つまり、信じる、それだけだと言いました。
ここまで読んでみて、どう思いましたか?あなたもこれまで長年抱えてきた「不満」があるのではないのでしょうか?
何年も同じ状況が続いていて、もう変わらない・できることはやり尽くしたとは思わず、ギデオンと同じようにまず、神に自分の不満を訴えましょう。そして、その状況を変えられるのは神だけであると理解し、認めたうえで、何をすればいいのか導きを求めてみて下さい。
次回、ギデオンのその後と神がどのようにイスラエルの人々を救わせたのかについて学びましょう。